こんなクマたちと抱擁したい。夜の姿を撮るためにセットしておいたカメラが壊されていた著者のカメラマンはそのカメラをクマの悪戯用に置いておく。そしてもう1台別のカメラを撮影用にセットする。そうやって撮影された夜のクマはカメラを見つめたり覗いたり匂いをかいだり触ったり抱きしめたり。人間より愛嬌があるクマたち。
他にも愛すべきクマが満載。彼らが食べる様々な木の実や植物や彼らの様々な排泄物も出てくる。狩猟して魚を食べているクマもいれば人間に食べられるために解体中のクマも出てくる。樹々に残るクマの痕跡もある。とにかくクマのことなら何でもという写真集で解説文も量より質。川上弘美の『神様』と本棚に並べて置いておこう。
(ことしの本棚 第93回 針谷和昌)
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