そもそも放射線って何だ?半年前ぐらいに答を見つけたくて人に聞いたりいろんな本をあたってみた。その時もそれなりにわかったつもりになったけれど、何の気なしに入った本屋で平積みになっていたこの本を立ち読みしたら、ちょっと大げさに言うと“いま日本でいちばんわかりやすい解説”がこの本に出ていた。
『原子爆弾から原子力発電まで 原子力のことがわかる本』(舘野淳 監修/数研出版社)
8年前に初版が出ていて僕が買ったのは今年の第四刷。3.11により見直された本でもあるのかもしれないが、帯にある「子供から大人まで一緒に読める!」といううたい文句通りのわかりやすさ。
わかりやすさに加えて、僕にとっては“読み物”あるいは“物語”として抜群に面白かった。原子の力を使った大きな力の発見に、当時の研究者がわくわくしながら挑んでいるその姿が、まさに見えてくるようだった。そして「原子力」を生み出すということは人間の抑えられない性なのだということを実感した。
“考える”ことで生き物の世界を制した人間は、その“考え”を発展させて自らを滅ぼす宿命にあるんじゃないだろうか、という気になってきた。そうならないために正しい道筋を“考え”、実行していく“脳力”が、果たしてわれわれにあるのだろうか。
(ことしの本棚 第80回 針谷和昌)
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