ことしの本棚78『THE FIG IN PICTURES』

「世界体操 東京2011」で日本のエース内村航平選手は、実に23種目を演技したそうだが、本人もことさら喜ぶ「ロンジンエレガンス賞」を受賞したように、そのどれもが美しい演技だった。大会最後の演技者となり、種目別・鉄棒の着地をピタリと決め、表彰式では間違えて2位の表彰台に上がり、笑いを誘いながら銅メダルを受取り、それに続く閉会セレモニーで10日間にわたる大会は幕を閉じた。

内村選手が中心になった大会だった。そして個人総合史上初の3連覇を成し遂げた内村選手は、まだまだ満足出来ないで気だったと言う。美しさの追求には限界がない、ということだろうか。

大会終了数時間後、大会に携わっていた一員として、主催のFIGから記念としてのノベルティを受取った。その中に『THE FIG IN PICTURES』(FIG EDITION)という重量のある写真集があった。ページをめくると、歴史的なモノクロ写真から、新体操、一般体操まで、体操の美しい世界が広がっている。

だけれども、内村選手をはじめとするこの半月見続けた世界81ヶ国の選手たちのライブの体操を思い出すと、この写真集よりもさらに美しい世界があったと思う。そして、今回プロやアマが撮った多くの写真の中にも、この写真集を超えることが出来るかもしれない数々の美しい写真があったと思う。

より美しい体操写真集。これもまた、内村選手と並走しながら、追求していく価値のある世界なのではないかと思う。

ことしの本棚 第78回 針谷和昌)a

hariya  2011年10月17日|ブログ