
『緊急解説! 福島第一原発事故と放射線』(水野倫之 山崎淑行 藤原淳登/NHK出版新書)
水野氏と山崎氏は震災直後、毎日のようにNHKで見ました。極端に言えばほぼ出ずっぱり状態。すっかり顔も口調も(性格らしきものも)理解したような気になっています。
とくに水野氏は新宿歌舞伎町での人気が高いという噂も聞いて、にわか“時の人”的なイメージでした。通常の解説は至って冷静なんですが、一度解説員や記者がたくさん出た座談会的な番組で、先輩も大勢いて自分の役割を意識したのか、あるいはリラックスしたのか、いつもより過激な発言をしていて、それはそれでこちらもスッキリした気分になりました。
という訳で僕も水野ファンです。もう1人の藤原氏は殆ど見た記憶がありません。
水野氏はNHK解説員、山崎氏と藤原氏は記者。この3人がそれぞれ1章ずつ書き、最後に水野氏と山崎氏の対談の章という構成。とくに水野氏の部分を中心に読みました。
水野氏は「日本はどうして原発を進めたのか?」という章で、日本の原発関係者は最悪の事態を想定するのことが最も苦手で、それは原発をゼロから開発した訳ではなく実践での緊急対応も経験していないので、『本当の怖さ、恐ろしさ』を知らないからではないか、と書いています。
また対談の「これから原発はどうなるのか?」という章で、「想定外というよりは、国も東京電力も想定しようとしなかった」「アメリカからのさまざまな支援を、あまり積極的に受け入れようとしませんでした。(中略)事故が起きてからもまだ過信があった(後略)」「原子力技術というのは、輸入した技術であって、日本はそれをうまく習得して使ってきたかもしれないけれど、根幹の部分を本当にわかっていたのかどうか」と語っています。
ずっと原発を取材して来た人が、非情にまっとうなことを言ったり書いたりしている。いたずらに過激でないだけに、かえって心に響いてくるものがあります。
(ことしの本棚 第67回 針谷和昌)
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