
そろそろ起こるぞという状態で、大津波の起こる前の様子をことさら大げさに書く訳でなく、かなり丹念に書いている著者の『三陸海岸大津波』の書きっぷりが気に入って、引き続きこの本を読んだ。
『関東大震災』(吉村昭/文春文庫)
20万人の命を奪った大災害。今回の震災と大きく違うところは、流言飛語が飛び交い、犯罪が多発していること。ほとんど無法地帯と化した被災地で、震災後の被災者は、今回の震災とはまた別の意味で、大きな恐怖を感じたことと思う。警察がそばに居ても一般暴徒に暴行され、無実であるにもかかわらず時には殺される人もいたそうである。
大正12年9月1日。1923年。そして今年は平成23年、2011年。88年間で日本人の質が向上したのか、あるいは情報化が進み、流言飛語が著しく減ったのか。その両方ではないだろうか。情報化時代の天災は、人災に繋がりにくいということだと思う。
(ことしの本棚 第65回 針谷和昌)
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