『この言葉を忘れない 3.11 語りつぎたい勇気と感動のつぶやき』
(『この言葉を忘れない』編集グループ編/徳間書店)
書店で平積みされているこの本を見つけ、立ち読みしている間に涙が込み上げてくる。こんなことは生まれて初めて。その勢いで買おうかと思い手に取りながらも、タイトルの派手さが気になり、もう一度冷静になって考えようと他の本を見回る。他の本で目ぼしきものもなく、途中でまた本を開く。読む。涙が出る…。
こんなことを書店内でしていてもしょうがない。買おう。そういう流れでこの本を買い、そのまま乗った電車で読み切った。ところどころ、電車の天井を見上げて涙がこぼれるのをこらえる。とくに東京消防庁ハイパーレスキュー隊の妻の言葉、韓国のタクシードライバーの言葉、そして幼児の言葉を受けた駅員の状況など、そこら辺りになるとこらえようがなくなってしまう。
涙と、そして“やろう”という力が湧いてくる本。著名人の言葉も出ていて、これまであまり好みでなかった人も、意外なほど良い言葉を語っている。
(ことしの本棚 第61回 針谷和昌)
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