「放射線」以外でも震災関連の本をずっと読んでいる。読んでも読んでもわからないことがたくさんあり、読んでも読んでも次から次へと知りたいことが出て来る。この状態、永久に続くのでは?と思えてくる。
『原発大崩壊』(武田邦彦/ベスト新書)
「第2のフクシマは日本中にある」というサブタイトル通り、日本中の原発が福島と同じ危険性を持っているという。そして原発は、決してCO2削減に貢献している訳ではないことが、明快に書かれている。
「私が原子力委員会の専門委員をやっていた頃、原子力発電所を推進するためのの名目に『原子力はCO2を出さない』というものがありました。原発は建設費が8割、燃料費が2割で、火力発電所はほぼその逆です。原発の建設費は鉄とコンクリートに変わるのですから、それらをつくるときに多量に石炭を使っているわけで、そこでCO2が出てるじゃないですかと言ったら、それには触れてくれるなと言われました」
原発ができた頃と今の状況の大きな違いについても触れている。
「昔、原発ができた頃には、原発は安全だという原発推進派と、危険だといおう原発反対派の2つがありました。原発賛成派は、いかに原発が安全かと言い、原発反対派は、原発は不安定だということを主張して、そこで一生懸命論争していたわけです。それを受けて、政府組織も、推進の原子力委員会と、抑制の原子力安全委員会をつくった。アクセルとブレーキがあるという、正常な社会の姿がそこにはありました」
そしてこう迫って来る。
「柏崎でも起きた、福島でも起きた。女川でも起きた。東通でも起きた。あなたのところは起きないとどうして言えますか?」
「福島第一原発は1ヵ月以上も漏れ続けているのです。これは人類が初めて遭遇する原子力災害です。そして、もうひとつ、今回人類が初めて遭遇するのが、海に汚染物質が直接流れたということです」
『大津波と原発』(内田樹×中沢新一×平川克美/朝日新聞出版)
こちらは4/10に配信されたUstream番組の再現。
中沢新一
「(前略)エコロジーが思想として、現代の人類が抱えている問題に本当には適合しなくなっちゃっているんじゃないかという疑問すら持ちます」
内田樹
「(前略)日本人って、これが大好きなんだよ。利害関係を複雑怪奇にするのが。あるプロジェクトの利害関係者が増えれば増えるほど、そのシステムは安定するというのは日本人のある種の経験知なんだと思う」
平川克美
「(前略)ちょっと前まで日本人の多くが信じていた『先富論』的な考え方(1985年ごろから鄧小平が戸萎えた改革開放の基本原則。『可能な者から先に裕福になれ。そして落伍した者を助けよ』)がまもなく出てくると思うんですよ」
上記が3人のおじさんそれぞれの印象的なコメント。喋りをまとめた本だからなのか、意外と線を引く場所が少なかった。
(ことしの本棚 第57回 針谷和昌)
追記)放射線の関連で前回書き忘れた。『文藝春秋』2011年6月号で石川正純(北大大学院教授)という専門家が書いていた中から、ちょっとメモっておきたかったところをピックアップ。
1回の被曝:100mSv以下で発癌リスク確認されす
100mSvを超えると癌死亡率が0.5%上がる
外部被曝 :◎Sv/時(屋外に1時間いた時の被曝量) ×24=1日、×365=1年
1000μ(マイクロ)Sv=1mSv 1000mSv=1Sv
内部被曝 :Bq(ベクレル)/kg(1kgあたり1秒間に出している放射線数値)
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